老人ホームは、延べ面積にかかわらず消火器の設置義務がある数少ない用途のひとつです。 「うちは小規模だから設置しなくてよいのでは」と思われがちですが、規模を問わず対象になります。 このページでは、老人ホームの設置基準と必要本数の考え方、入居者の安全に配慮した機種選びのポイントをご紹介します。
特別養護老人ホームや短期入所施設などは消防法施行令別表第一(6)項ロに区分され、延べ面積にかかわらず消火器具の設置義務が生じます。 工場や倉庫のような「150㎡以上」といった面積基準がなく、小規模な施設でも例外なく対象になる点が特徴です。
| 区分 | (6)項ロ |
|---|---|
| 設置義務が生じる延べ面積 | 延べ面積に関わらず |
| 算定基準面積(非耐火) | 100㎡ ごとに1単位 |
| 算定基準面積(耐火構造+難燃内装) | 200㎡ ごとに1単位(=本数はおおむね半分) |
| 備考 | デイサービス等(6)項ハは150㎡以上・区分要確認 |
デイサービスなど通所系の施設は同じ(6)項でも「ハ」に区分され、150㎡以上で設置義務が生じる扱いになります。 入所施設か通所施設かで基準が変わりますので、複合施設の場合は区分ごとにご確認ください。
延べ面積を割り算すれば本数が出ると思われがちですが、実際にはそれだけでは足りません。次の3つを確認して、いちばん多い数を採用することになります。
延べ面積 ÷ 算定基準面積で求めます。老人ホームの算定基準面積は100㎡。耐火構造+難燃内装なら200㎡になり、必要な数は半分で済みます。
各階のあらゆる場所から消火器までの歩行距離が20m以内であることが必要です。居室が並ぶ長い廊下構造では、この条件が本数を左右します。
厨房など多量の火気を使用する場所がある場合、床面積25㎡以下ごとに1単位が加算されます。
老人ホームは居室が両側に並ぶ長い廊下構造が多く、見通しの良いワンフロアの施設に比べて歩行経路が伸びやすい建物です。ユニットやフロアが分かれている場合は、区画ごとに消火器が必要になります。
共用ホールを中心に見渡せる構造
見通しがよければ、能力単位で求めた本数でも20m以内に収まりやすくなります
両側に個室が並び、廊下の突き当たりまで距離がある
廊下の端から端までが長いと、フロアごとに複数本が必要になります
主要構造部は耐火構造+難燃内装、厨房を有するという想定で、実際に計算してみます。
| 延べ面積 | 必要能力単位 | 10型ABC粉末 | 耐火構造+難燃内装の場合 |
|---|---|---|---|
| 150㎡ | 2単位 | 1本 | 1本 |
| 300㎡ | 3単位 | 1本 | 1本 |
| 500㎡ | 5単位 | 2本 | 1本 |
| 1,000㎡ | 10単位 | 4本 | 2本 |
| 2,000㎡ | 20単位 | 7本 | 4本 |
| 3,000㎡ | 30単位 | 10本 | 5本 |
| 5,000㎡ | 50単位 | 17本 | 9本 |
※ この表は能力単位の条件を満たす最低ラインです。面積の基準がない用途のため、小規模施設でも表の左端(150㎡未満)に相当する本数は必要になります。歩行距離と付加設置によって実際の本数は増えますので、最終的な設置本数は所轄の消防署の指導に従ってください。
歩行距離による本数は建物の形によって変わるため、面積だけでは決まりません。延べ面積と建物の構造、厨房など火気使用場所の有無をお伺いできれば、こちらで概算の本数をご提案します。図面がなくても、フロアの間取りが分かればお答えできますので、気軽にご相談ください。
本数を相談する・見積りを依頼する老人ホームは寝具やカーテンなどの可燃物(A火災)が中心ですが、厨房があれば油火災(B)、医療・介護機器の電気系統があれば電気火災(C)への対応も必要です。そのうえで、入居者の安全に配慮した次の3点をご確認ください。
居室では寝具・カーテン等のA火災、厨房があれば油によるB火災、介護・医療機器の電気系統によるC火災も想定されます。判断に迷う場合は、いちばん守備範囲の広いABC粉末を選んでおけば間違いがありません。
屋外の喫煙スペースや非常口周辺は雨風にさらされやすい場所です。屋内の廊下・共用スペースには、車椅子や歩行器の往来を妨げない場所への設置台の活用もご検討ください。
粉末消火器は放射時に粉じんが舞うため、呼吸器への負担が気になる入居者が多い施設では、強化液や二酸化炭素消火器を候補に含めるケースもあります。エリアごとに機種を使い分けるご提案も可能です。
居室エリアには軽量で扱いやすい10型のABC粉末消火器が中心に選ばれています。厨房のある区画には強化液タイプを組み合わせるご相談も多くいただきます。
強化液を使用しており、粉末のように舞い上がって周囲を汚す心配が少ないモデルです。天ぷら油火災にも対応し、約6.7kgと取り回しやすい3L。厨房や居室エリアなど、粉末による汚れや吸い込みを避けたい区画に向いています。
商品ページを見る ›消火器そのもの以外に、設置台や格納箱、設置場所を示す表示板が必要になることがあります。また、古い消火器を処分される場合はリサイクルシールが必要です。当店の新品にはあらかじめ付属していますので、あわせて消火器のリサイクルもご覧ください。
これまでにご対応した中で、多かったご相談をご紹介します。似たような状況でしたら、そのままご相談いただければ対応できます。
はい。特別養護老人ホームなどの入所施設は(6)項ロで延べ面積にかかわらず対象ですが、デイサービスなど通所系の施設は(6)項ハとなり、150㎡以上で設置義務が生じます。複合施設の場合は区分ごとにご確認ください。
粉末消火器は使用時に粉じんが舞うため、呼吸器への負担が気になる場合は、強化液消火器など粉末以外の消火器をご検討いただけます。ただし、粉末以外の消火器は、多くの場合「付加設置」(必要本数に上乗せして設置するもの)としてのご案内になります。必要本数そのものは粉末消火器で設置いただく必要がありますので、粉末消火器に加えて組み合わせる形になります。エリアごとに機種を使い分けるご相談も承っています。
ご対応できます。処分の方法については消火器のリサイクルのページで詳しくご説明していますので、あわせてご覧ください。
お問い合わせフォームから状況をご入力ください。対応させていただきます。
法人のお客様向けにお見積りを発行しています。お支払い方法についてはお問い合わせからご相談ください。
可能です。お届け先ごとに商品代金が税込33,000円以上の場合、そのお届け先は送料無料になります(沖縄・離島を除く)。
入居者様の目に触れなくしたい理由にもよりますが、設置基準に関しては、歩行距離も含めて変えることができません。消火器自体はほとんどの施設で共用部に設置しており、誤使用が懸念される場合は、ベル付きの格納箱などに入れて設置するなどの対応になります。
消火訓練用の消火器も複数メーカーの取り扱いがあります。機種により蓄圧の仕方も様々ですので、ご不明な際はお問い合わせからご相談をお願いします。消火訓練用の「まと」も販売しておりますので、より良い訓練に合わせてご購入されるお客様が多くいらっしゃいます。